不誠実なやさしさ
毎日ゆらゆらと揺れている。自分の気持ちが。若い時はきっとこのまま食べなくなって眠れなくなって心療内科まっしぐらだっただろうけど、もういい年なので留まれている。笑
SNSで呟けば、相変わらずリプライが来る。律義な性格。彼の場合、振った女が心配で・・・とかそういうんじゃなくて、ただ、自分が嫌われたくないから、こういうことするんだろうなあ、と思う。私としては、正直なところ彼との関わりをあまり持ちたくない。なので呟くこともしたくない。が、自分のSNSぐらい自分の好きに使いたい。笑
リプライが来るぐらいは、まあいいか、と思うようにしている。私から、必要以上に彼に絡むことをしなければいいだけだ。
石井ゆかりさんの「愛する人に。」を読みなおしている。もうずいぶん前に買った本で、今は新装版が出ている。私が持っているのは前に発売されたもの。内容は一緒なのかな?
この本は、いろいろな恋愛相談に対する回答(というより、石井さんの見解?)が書かれている。恋人ができない悩み、不倫の悩み、遠距離恋愛の悩み・・・。どれもこれも、どこにでもある、誰にでもある恋愛についての悩み。
そのなかで、「理不尽な別れ」という章がある。ちゃんとした別れ話もなく別れてしまって、納得ができないという話。
まんま、今の私たちだなあ、と思いながら読んだ。
ただ、私自身は、納得して離れたつもりだ。はっきりと「サヨナラ」を言って別れるのはちゃんとした恋人同士であり、夫婦ぐらいなもので、私たちのような曖昧な関係は、「理不尽」なくらいでちょうどいいのだろう。相手の深いところまで支えあうことができなかった。そういう関係だったから。
彼が私にはっきりと言わないのは、私が彼にとって所詮その程度の相手だったからか、彼も私との繋がりを完全に断ち切りたくはないからかのどちらかだと思っている。そして、できれば後者であって欲しいなあと、心のどこかで思っている。しかし、そのどちらでもいいかなあ、とも思っている。
そしてもうひとつ。彼は私を傷つけたくないから、言えないのだろうなあ、と思っている。
私は傷つけられた方が、いっそ清々するのだけど。
そんな思いがぐるぐる駆け回る毎日で、この章を読んでいた。そうしたら、こんなことが書いてあった。
でも、そんな「はっきり言ってもらえなくて苦しい」人の中にはなぜはっきり言ってもらえないかを、知っている人がいます。それは、相手がどんな人だったかを、よく知っている人たちです。
「もうつきあえない。別れよう」というのは、これもまた、非常につらいことです。やさしい人なら、相手の気持ちを思いやって苦しみます。
弱いところのある人は、相手を傷つけることを引き受けられないのです。
ホントにね、いい歳してなにやってんだ、っていろんな人から突っ込まれそうなんだけど、そういう人だったんだよなあ、彼は。人を傷つける誠実さがない。
でも、そういう彼を、私は好きだった。
だから、何も言わず、何も聞かず、彼の傍を離れようと決めたんだった。それを、ふと思い出したら、ぐるぐる駆け回る気持ちがどこかへ消えてしまった。
人を傷つけることも誠実さのひとつだよ。と、彼に伝えることはしない。そんなことくらいもう自分で気づけ。笑。
気づけなかったら今の恋も失うよ。これも伝えない。人と向き合う中で、自分で気づいてほしい。そう願っている。それは、私が彼にできることのうちのひとつ。
私は彼のことを許すよ。だって、彼は私にたくさんの優しさをくれたから。それがたとえ、不誠実なものでも。